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過度の相続税対策に終止符?

2019年9月9日発行

◆◇◆須田会計事務所メールマガジン №855 2019.9.9発行◆◇◆

 □□税務豆知識□□
<過度の相続税対策に終止符?>
 平成27年に相続税の基礎控除の引き下げなどの増税が行われてから4年が経過しました。平成26年までの課税対象となった相続案件は全国でおよそ5万6千人ほどであったのに対し、平成27年以降は10万3千人、10万6千人、11万2千人と、およそ2倍以上に増加しています。当事務所へのお問い合わせも年々確実に増えており、関心が高いことを肌で感じています。
 相続税が高くなったと聞けば、節税したいと考えるのが人情です。相続税の節税策として、金融機関からお金を借りて不動産を購入する、という手法があります。不動産会社や金融機関が主導でこういった切り口で営業をしている、という話もよく耳にしますから、ご存じの方も多いかもしれません。実は、この方法について、つい先日東京地方裁判所で驚きの判決が下りました。
 この裁判は、相続が開始する3年ほど前に、金融機関から10億円の借入をして13億円ほどの賃貸不動産を購入し、相続税はゼロ円として申告をしていた納税者と、これを否認した税務署がその是非を争っていたものです。一般的に、相続税の計算をする際の不動産の評価額は、通達に基づいて路線価や倍率表によって計算を行うこととされていますが、今回の裁判では、この方法により評価された金額が市場の取引価格と著しく乖離しているとして、鑑定評価により評価すべきという判決が下っています。通達に基づいて評価した金額は、鑑定評価の約4分の1だったようで、その結果相続税額で約6億円もの差が生じました。裁判所は、銀行から借入をして不動産を購入したという一連の取引が、相続税の負担を減少させることを期待して行ったものと判断し、課税の公平性という観点からこのような判決に至ったようです。
 まだ地裁の判決であるため、最終的な結論となるかは不透明ですが、今後はこのようなスキームを利用することに一定のリスクが伴うことを理解しておくべきでしょう。今後は、投資用不動産を購入することに必然性があるのか、相続税の負担減少以外の目的として何があるのか、といった経済的合理性が求められそうです。

 
 □□税金クイズ□□  
[問題]
 Aさんは自己資金3000万円に追加して銀行から7000万円の借入をし、1億円の自宅不動産を購入しましたが、3年後に交通事故で他界しました。死亡時における同不動産の評価額は5000万円、借入の残債は6500万円です。自宅の購入をした場合としなかった場合とで、相続税の評価額はいくら圧縮されたでしょうか。
①圧縮されていない
②1500万円圧縮している
③4500万円圧縮している
  
正解は一番下へ!↓↓↓ 
 
 □□マッチングギフト□□
 国連サミットでSDGsが採択されて丸4年、大企業ではSDGs達成に向けた活動もかなり浸透してきているようです。SDGsとは、持続可能な社会を目指し、「誰一人取り残さない」を合言葉に、さまざまな社会課題を解決しようという試みです。寄付などがわかりやすい活動の一例といえるでしょう。
 そして、寄付の一種として、支援者からの寄付に対して、企業が一定割合の資金を上乗せして、支援を必要としている団体へ寄付することをマッチングギフトといいます。支援者としては自分の寄付額以上の支援が実現されることでより社会的満足感を得ることができ、企業は社会貢献の一環としてブランド価値を向上させることができます。何より支援が必要な団体には寄付が集まりやすくなり資金の好循環が生まれます。
 マッチングギフトの活用方法としては、例えば古本屋さんが、古本の買取の際に、買取額を通常よりも割増しにして、その代金を寄付するなどの事例があります。最近では、クラウドファンディングを活用して、マッチングギフトを行う企業も登場しています。例えば大鵬薬品は、がん領域の課題解決に挑戦しているNPO法人等が行うクラウドファンディングで、目標額の50%以上を達成した場合には、追加で50%分を支援するという取り組みを公表しています。
 まだまだ海外に比べると寄付文化がなじんでいるとはいえないかもしれませんが、マッチングギフトの対象となっているNPO法人等をチェックし、興味をもつだけでも、私たちにとっては社会貢献の第一歩になるのではないでしょうか。
  
□□税金クイズの解答□□
[正解]③
 不動産の購入を購入しなかった場合には、相続財産は自己資金3000万円が課税対象財産となります。一方、購入した場合には、不動産5000万円-借入残債6500万円=△1500万円となります。したがって、圧縮された財産の額は4500万円となります。
 
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☆今週号の編集責任者は 須田裕行 & 井戸川真也 でした。
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