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得意先が破産した場合の貸倒損失

2019年6月3日発行

◆◇◆須田会計事務所メールマガジン №841 2019.6.3発行◆◇◆

 □□税務豆知識□□
<得意先が破産した場合の貸倒損失>
 掛売りをしている会社は、得意先の経営状況の悪化などによって売上代金の回収が滞ってしまうことがあります。そのまま回収することができなくなった場合には、会計上貸倒損失を計上することになります。税金を計算する上でこれが損金として認められるためには、本当に回収の可能性がなくなったのかどうか、すなわち貸倒れの事実が生じているかどうかがポイントになります。法人税基本通達では、貸倒損失が認められるケースとして次の3つがあげられています。詳細は国税庁のHPのリンクをご参照下さい。
①更生計画認可の決定などによって法的に債権が切り捨てられた場合など
②得意先の資産状況などからみてその全額が回収できないことが明らかになった場合
③得意先との取引が停止してから1年以上経過した場合など

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_06_01.htm

 得意先が破産した場合には破産法に基づく手続きが行われますが、①のような法的な債権の切捨てが行われるわけではないため、②により貸倒れの事実が生じているかどうかを判断することになります。これについては、破産管財人が破産した会社の財産を換金して最終配当を行ったのちに裁判所が破産終結の決定をしたところで貸倒れの事実が生じることになります。なお、この場合には、その決定があった期に貸倒損失として損金を計上する必要があります。その期以外の任意の期の損金とすることはできません。また、破産終結の決定がない場合でも、③の条件を満たせば貸倒損失を計上することができます(ただし、これによる場合には備忘価額として1円以上の売掛金を残す必要があります)。
 得意先と連絡が取れない状況にあったとしても、貸倒損失を損金にできるのかどうか、よく検討してから申告書を作成するようにしましょう。
 
 □□税金クイズ□□  
[問題]
次の選択肢のうち、得意先の売掛金について貸倒損失が損金として認められるケースはどれでしょうか?
①会社更生法の規定によって売掛金が切捨てられたため、その金額を貸倒損失とした場合
②経営状況の悪化によって売掛金の一部が回収できないことが明らかになったため、その一部を貸倒損失とした場合
③1年以上取引がないため、売掛金の全額を貸倒損失とした場合
 
 正解は一番下へ!↓↓↓ 
 
 □□モアタイム□□
 みずほ銀行が5月7日より、全銀システム稼動時間拡大サービスに参加しました。これにより、みずほ信託銀行・野村信託銀行・きらぼし銀行等の一部金融機関を除き、日本のほぼ全ての金融機関がモアタイムシステムを導入しました。
 独自のシステムを使用している金融機関を除き、多くの金融機関では「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」を利用し、金融機関相互の為替取引を行っています。従来の為替取引は「コアタイムシステム」と呼ばれるシステム稼働時間内の平日8時30分から15時30分までの間の利用に限られていましたが、新たに「モアタイムシステム」が開発され、コアタイム以外の時間帯である土日や深夜であっても24時間いつでも全銀システムを金融機関が使用できるようになりました。
 ただ、送金元・送金先の金融機関がそれぞれモアタイムを使用している場合でも、必ずしも24時間即時決済になるわけではありません。参加金融機関はシステムに接続する時間を任意に設定することができるため、夜間は21時迄の対応とする場合や、メンテナンスのため接続を行わない時間帯を設定するなど、その対応は異なります。また、あらかじめ入金を指定した振込や、複数の振込を一括して依頼する振り込み(総合振込や給与振込)については対象外となり、これまでどおりコアタイム接続時間の入金となります。公共料金の引き落としなども送金とは関係がありませんので、今までどおりの時間に引き落としとなります。
 従来であれば平日の日中に限られていた振込手続きですが、24時間いつでも振込可能になったことで利便性が大幅に向上しました。フィンテック企業が活発な昨今、今後は手数料等のコスト面にも改善が図られて欲しいですね。
 
 □□税金クイズの解答□□
[正解]①
 経営状況の悪化を根拠として貸倒損失を損金算入するためには、売掛金の全額について回収できないことが明らかになる必要があります。1年以上取引が停止したことを根拠として貸倒損失を損金算入するためには、備忘価額として1円以上の売掛金を残す必要があります。
 
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☆今週号の編集責任者は 安田洋平 & 松井千佳子 でした。
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