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貸倒損失

2016年8月8日発行

◆◇◆須田会計事務所メールマガジン №00698 2016.8.8発行◆◇◆

 □□税務豆知識□□
<貸倒損失>
 イギリスのEU離脱に端を発する円高や株価の下落など経済不安がくすぶる中、第3次安倍内閣が発足されました。アベノミクスの新たな矢が放たれるのか注目が集まるところです。企業の倒産件数は減少傾向にありますが、それでも取引先から売掛金の回収が滞ってしまうこともあるでしょう。そのような時のために今回は貸倒れがあった場合の処理についてご説明したいと思います。
 貸倒れとして損金の額に算入できる場合は大きく分けて3つあります。まず1つは、会社更生法等の手続により債権の切り捨てがあった場合です。この場合には、その事実が生じた事業年度の損金の額に算入することができます。債務超過の状態が相当期間継続している取引先に対し、書面で債務免除の通知をした場合も同様の処理となります。
 2つめは、法的な事実はないものの取引先の資産状況等からその全額が回収できないことが明らかになった場合です。その明らかになった事業年度において損金経理をすることにより、損金の額に算入することができます。例えば、破産管財人により配当がない旨の証明がある場合や、債務者に財産がなく1年程度その行方が不明の場合などが該当します。
 3つめは、形式的な基準で売掛債権に限られる規定ですが、継続的な取引を行っていた取引先の資産状況等が悪化したため、取引を停止した後、その弁済等を含む最後の取引から1年以上経過した場合や、 同一地域の取引先に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合には貸倒れが認められます。この場合には、備忘価額1円を残した残額を損金経理することで、損金の額に算入することができます。
 どのような要件のもと貸倒損失とするのかによって、損金に計上できる時期や経理方法、証拠書類などが異なりますので、取引先の現状は常に把握しておくことが望ましいでしょう。

 □□税金クイズ□□  
[問題]
 次の選択肢のうち、当期の損金の額に算入することができるものはどれでしょう。
①前期末の時点で会社更生法の規定により切り捨てられたA社の債権の額について、当期に損金経理した場合
②B社の資産状況等からその全額が回収できないことが明らかになったため、その全額を損金経理した場合
③継続的な取引を行っていたC社の資産状況等が悪化し、その弁済等を含む最後の取引から1年以上経過したが、なんら経理処理をしていない場合

 正解は一番下へ!↓↓↓
 
 □□立秋□□
 昨日8月7日は立秋でした。暦上は、立秋から立冬の前日までが秋とされています。立秋は一年で一番暑く、ここから徐々に涼しくなっていくとされています。まさに暦が示すとおり、先週から暑い日が続いていますね。最高気温35度と言われると、なんだか外に出る気力が急速に奪われていく気がします。
 昔の人たちは、立秋をどう感じていたのでしょうか。古今和歌集の中に、藤原敏行が立秋について詠んだ歌がありました。
 秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる
 秋が来たとはっきり目には見えないが、風の音で秋の気配があることにはっと気づいた、と詠んでいます。1100年以上前もやはり暑い日が続いていたようですが、風の僅かな違いに秋を感じ取っていたようです。私も暑いからと冷房の効いた部屋に閉じこもらず、小さな季節の変わり目を探しに外へ出てみようと思います。

 □□税金クイズの解答□□
[正解]②
 ①の場合は会社更生法の規定により債権の切り捨てがあったのは前期であるため、前期において損金の額に算入するもので、当期の損金の額には算入できません。また、③の場合は備忘価額1円を残して損金経理をする必要があるため、経理処理をしていない状態では損金の額に算入することはできません。
 
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☆今週号の編集責任者は 井戸川真也 & 須田裕行 でした。
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