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上場株式のみなし譲渡損失の特例

2015年2月23日発行

◆◇◆須田会計事務所メールマガジン №00626 2015.02.23発行◆◇◆

 □□税務豆知識□□
<上場株式のみなし譲渡損失の特例>
 先月、航空会社大手のスカイマークが民事再生法の適用を申請し、東証一部上場の同社株式は2月27日を売買最終日として上場廃止となることが決定しました。最近の株価は報道前の10分の1程まで下落し、株主としては売るに売れない状態となっています。さて、それでは上場廃止までに株式を売却できなかった場合、その取得価額は損失として認められるのでしょうか。
 答えはノーです。税法上は原則として売却により実現したものを損失と認めており、売却していない株式の損失は実現していないものとして他の株式の売却益と損益通算はできません。ただそれではあまりにも酷だということで、みなし譲渡損失の特例が設けられています。これは一定の条件を満たす上場廃止株式について、売却したとみなして取得価額を損失とすることができる規定です。条件は大きく分けて2つあります。
 まず1つめは、特定管理口座で保管することです。特定管理口座を開設済みであれば、特定口座で保管していた株式は上場廃止後に自動的に移されます。しかし、上場廃止時点で特定管理口座の開設がされていなければ、株式の移行ができず、特例の適用を受けることができないので、念のため特定管理口座の開設の有無は確認しておいた方が良いでしょう。そして2つめは、税法上無価値と判断されることです。100%の減資や破産手続きなどが無価値と判断される事由になります。ただし、いつ無価値となる事由に該当するのか分からないこと、もしかすると、99%の減資となり特例を受けられない可能性があることに注意が必要です。
 また、この規定はあくまでも特例であり、その年の上場株式等の譲渡益との損益通算は可能ですが、通常の譲渡損失の際に利用できる上場株式等の配当所得との損益通算および3年間の損失の繰越控除が使えませんので、どうしても売却できなかったときの最後の砦という認識が適当かもしれません。平成28年以降に特例の対象となる場合は、みなし譲渡損失についても配当所得との通算および3年間の損失の繰越控除の利用ができるようにルールが緩和されますので、使い勝手は少し良くなりそうです。もっとも、損をしない銘柄選びをすることが何よりも一番重要ですね。

 □□税金クイズ□□  
[問題]上場株式のみなし譲渡損失の特例を利用できる条件として正しい選択肢はどれでしょう。
①上場廃止株式を特定管理口座で保管し、当該株式が100%の減資を行う。
②上場廃止株式を特定管理口座で保管し、当該株式が99%の減資を行う。
③上場廃止株式を手元で株券として保管し、当該株式が100%の減資を行う。

正解は一番下へ!↓↓↓ 

 □□商品の値上げ□□
 最近、値上げに関するニュースを非常によく目にします。特に家計に痛手なのは食料品ではないでしょうか。例えば冷凍食品やカレールー、さらにアイスクリームや牛乳などの乳製品と、とても身近なものがこの数ヶ月の間に値上げされます。主な原因は、急激な円安で輸入している原材料の仕入負担が増加していることのようです。乳製品については、酪農家の減少や夏の猛暑の影響で生産量が落ちたこともあるようですが、乳牛の飼料を輸入に頼っている部分が大きいようで、結局円安の影響も受けているようです。例示したものは全て我が家の常備品であり、結構うちの家計にも影響を及ぼしそうです。
 また、食料品以外での値上げのニュースとしては、東京ディズニーリゾートが大きな話題になったでしょうか。パスポートだけでなく駐車場も値上げという、これも私にとって非常にショッキングなニュースでした。小さい子どもが2人いるので、荷物の量や帰りのことを考えると車で行くことが多く、年間にそう何度も行く訳ではないですが痛手ですね。
 実は、前者と後者はその値上げに至る要因が違い、前者は為替や天候など外的要因により仕入などの負担が大きくなり企業で吸収しきれなくなっての値上げであり、後者の公表されている理由は、新しいアトラクションなどのオープンや環境整備といった投資で価値を高めてきたことや今後計画している大幅な投資につなげるためという内的要因による値上げ、ということです。後者の場合は、その値段に見合う価値を見いだせれば納得して遊びに行けると思います。前者は、今後円高などにより仕入負担が減少したら値下げになるのでしょうか?今までも食料品等の値上げのニュースは良く耳にするのですが、値下げになったというニュースはあまり聞かない気がします。ニュースに取り上げられないだけなのでしょうか。気になるところです。

□□税金クイズの解答□□
[正解]①
 上場廃止株式を特定管理口座ではなく、一般口座で保管していたり、券面を手元で保管している場合は特例の適用は受けられません。また、当該株式が無価値と判断される必要がありますが、99%減資の場合は株主としての権利が1%でも残っていることになるため無価値とは認められません。

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